<カバー裏あらすじ>
海水浴客でごった返す南仏の避暑地カシス。ヌーディスト村やカジノで賑うこの小さな街で、三件の連続殺人事件が発生した。照りつける太陽の下、捜査の指揮をとるのは28歳の女性警視ミュリエル。彼女に思いをよせる医学生ピエール、被害者の共通の愛人だったソランジュらの協力で、事件は解決するかと思われたが・・・・・太陽と海の香りに満ちた本格ミステリー。フランス推理小説大賞受賞作。
2024年7月に読んだ 4作目(5冊目)の本です。
ジャック・サドゥール「太陽の下、三死体」 (新潮文庫)。
積読本サルベージです。
奥付をみると昭和六三年九月。36年前ですか...
タイトルどおり、陽光溢れる南仏で三連続殺人が起きる。
その捜査を若いミリュエル・ルダイヨン警視が行う。
彼女は捜査過程で知り合った医学生ピエールと恋仲に。また被害者たちの共通の愛人(!) だったソランジュと友情をはぐくむようになる。
物語は犯人の視点(ただし最初のうち誰かは読者にわからないようになっています。途中でわかります)のシーンを折々はさみ、ミリュエルの捜査を追って進んでいきます。
ミリュエルの行動も、なんかフランスっぽい(←偏見ですよね、これ)。
第一部から第三部まで犯人の計画通り3人が殺され、ミリュエルの捜査が行き詰ったところで最後の第四部となります。
第四部で驚いてしまいました。
これもツイストと呼ぶのでしょうか?
これ、ミステリとしてのサプライズではないですね。それでもとても楽しく読めました。
こういうひねり、先例はあるように思いますが(これだと作品名を挙げることができません。記憶力が......)、個人的にはサプライズとなりました。
この作品で、事件を捜査するミリュエルを物語の中心に据えている作者は、とてもいじわるですね。
まあ、でも、ミリュエルは幸せになりそうだから、いいか。
一風変わったミステリがお好きな方、どうぞ(と言いながら絶版品切ですが)。
<蛇足1>
「ピエールは立ち止まって、眼下にひろがる入り江の峡湾(フィヨルド)を指さした。」(34ページ)
フィヨルドというと氷河によって作られる地形です。南仏にフィヨルド? と思いましたが、アルプスも近く、フィヨルドがあってもおかしくないですね。
<蛇足2>
「笑止の沙汰だ。だれがぼくを殺そうというんだ?」(126ページ)
「笑止の沙汰」という言い回し、初めて出会った気がしますが、一般的な使われ方のようですね。
原題:Trois Morts au Soleil
作者:Jacques Sdoul
刊行:1986年
訳者:長島良三
ラベル:ジャック・サドゥール