
Q.E.D.iff -証明終了-(24) (月刊少年マガジンKC)
- 作者: 加藤 元浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2023/03/16
- メディア: コミック
<カバー裏紹介文>
「ナッシュ均衡と球技大会」
燈馬と可奈の高校で、初の球技大会が行われることに。だが、実行委員と運動部の間で、練習場使用を巡り大混乱。やがて ”仮面の怪人” が出現し、双方の部屋を荒らす騒動に!
「7つの事実」
業績回復を目論むA建設。政治家への5千万円の贈賄工作を進めるが、計画当日、金は消え、極秘チーム4名中、死傷者2名を出す大惨事に。犯人はチーム内にいる!?
Q.E.D. iff のシリーズ第24巻。Q.E.D.iff -証明終了-(24) (月刊少年マガジンKC)
奥付は2023年3月。
「ナッシュ均衡と球技大会」
高校の球技大会を巡る混乱に、ナッシュ均衡ですか......
ちょっと道具立てが大仰すぎるのではないでしょうか?(笑)
トリックも難ありかと思いました。残されたシーツと仮面のところ、うまくいかないように思います。相手は可奈ですよ。
事件そのものも苦しい。
また、エピソードとして出てくるバスケットボールに燈馬が出るか出ないか、についても、首尾よく可奈を納得させることはできたようですが、あまりうまい仕上がりと思えませんでした。
「7つの事実」
政治家贈賄を企む建設会社という生臭い事件を扱っています。
こういうのに燈馬たち高校生を絡ませるのは難しいですね。この作品も相当無理をしています。
謎解きにも無理があるようで、事件の仕掛けも、それを解き犯人を追い詰める燈馬のロジックも、今一つキレが感じられませんでした。
その部分よりも、燈馬が可奈に向けて語る ”物語” をめぐる考察がとても興味深く、ここを掘り下げてほしい気もしました。
人生の問題の大半は「価値観の変更」を求められることではないかと思っています。
選択肢は大きく分けて二つ。
価値観を変えず現実から逃避するか
つらいけれど価値観を曲げて折り合いをつけるか
そして優れた物語には二つの選択肢を選ぶ際に助けてくれる力があるわけです。
少し例を挙げてみましょう
物語にも二つのタイプがあるとしましょう
『桃太郎』のように主人公が悪を倒して「今のままの価値観が正しい」と元気づけてくれるタイプと
『狐と葡萄』のように「価値観を変えたらうまくいくかも」と手を差し伸べるタイプ
ラベル:加藤元浩 Q.E.D. iff